映画『海街diary』広瀬すずが初々しい

綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずという女優陣を迎え、『そして父になる』の是枝裕和監督が描くホームドラマ。

 これだけの女優を一度に観られるという贅沢。もうそれだけで大満足の一本です。

鎌倉で暮らす三人姉妹の元にある日、15年前に家を出た父の訃報が届く。父の葬式で腹違いの妹・すずに出会い、彼女たちは四姉妹として共に暮らすようになり……。

広瀬すず、そのままの素材感

正直、この4人がそろえば何をやっていても絵になるわけで。彼女たちが昼寝をしたり、食事をしたりしている姿を観ているだけでも楽しい。それぞれ個性的な姉妹を演じている彼女たちですが、なかでも四女の広瀬すずがとても良いです。

今や数々のドラマ・映画の主演もこなし、17歳にして堂々たる風格の彼女ですが、本作ではまだまだ幼い印象。彼女はキャストの中で一人だけ、監督から台本を渡されず、その場でセリフを口頭で伝えられる「口立て」という方法で演出をされたそうです。

その甲斐あってか、つくられた「芝居」ではなく、広瀬すずという女優の「素材」そのままが出たナチュラルな演技になっています。三人の姉に迎え入れられながらも、自分の母が彼女たちの父親を奪ったという罪悪感は消えない。そんな複雑な心情を繊細に表現しています。

是枝監督は最新作の『海よりもまだ深く』が、カンヌ国際映画祭に出品されるなど、世界的に活躍する映画監督ですが、本作ではとにかく女優を魅力的に撮ろうとしたように感じられます。つくづく「映画は俳優を観るもの」と感じさせられる一本です。

海街diary（2015）

監督　是枝裕和
出演　綾瀬はるか／長澤まさみ／夏帆／広瀬すず